2015年 06月 02日
行くぜ、東北。(その2)
でも、朝食を食べていると少しずつ晴れてきました。
幻想的な朝の海です。
陸前高田へ向かうバスの車窓から、TVに何度も映っていた「防災センター」が
見えました。
当初は解体される予定だったのですが、宮城県が保存することになったそうです。
2日目、最初に観に行くのは「奇跡の一本松」でしたが、陸前高田に到着して、一番
目についたのは巨大なベルトコンベアが縦横無尽に走る姿でした。
復興事業の象徴となるこの工事は、10トントラックで9年かかる工程を1年半で完成
させるのだそうです。
とはいえ、かさ上げしたこの土地に、これから住む人はいるのでしょうか?
閑散とした街の様子に、立ち尽くしてしまいます。
「奇跡の一本松」は、実際には枯れてしまった松に防腐処理をし、心棒を入れて補強
したり枝葉を複製したりしたサイボーグのようなものですが、それでも青い空にすっく
と立っている様子は、震災から復興しようとする「希望」のシンボルのように見えました。
盛駅からは、この旅の一番のメインである復旧したばかりの「三陸鉄道南リアス線」
に乗りました。
どう見ても小さな商店にしか見えないこの建物が、盛駅の駅舎です。
小さくてカラフルな列車は、青い空と緑の森に映えてどこかおとぎの国の列車のよう
にも思えるのですが、車窓から見る風景は色々なことを思い起こさせました。
終点の釜石で下車した後は、ボランティアガイドさんと一緒に実際に崖を上って、被災
体験をしました。
ここまで上がってこれた方は、なんとか命拾いしたのだそうです。
崖の上から押し寄せる波を見ていた方々は、どんな思いだったのでしょうか?
ガイドさんのお話では、釜石の防波堤はギネスブックにも載った世界一の堤防で、壊れて
しまったけれどそのおかげで、津波が押し寄せるまでに6分の猶予が生まれ、多くの人
が津波から逃げることができたとのことでした。
そして今、その防波堤を40億円かけて修理しているのだそうです。
その時も、また壊れてしまうかもしれない防波堤に40億円をかけるのはどうなんだろう?
と思ってしまったのですが、家に戻って調べてみると、ギネスに載った防波堤には総工費
1,200億円が投じられていたのだそうです。
とはいえ、今この工事をやめてしまえば仕事が無くなり、また人が減ってしまうことになるの
かもしれません。
街を復興するということ、公共事業の是非についても色々考えてしまいました。
ちょうど私が旅行したのと同じころ、職場の同僚が仙台に出張に行っていました。
その方は出張の翌日も仙台に残り、語り部タクシーに乗って「荒浜地区・閖上地区」を
回ったのだそうです。
東京から仙台までは新幹線で1時間35分、語り部タクシーも「荒浜地区・閖上地区」など
仙台周辺をめぐる2時間半コースであれば、日帰りで被災地を回ることができます。
もちろん、岩手や福島まで足を延ばす長時間のコースなどもありますが、まとまった人数
で行けば、1人当たりの負担もそんなに大きくならないはずです。
語り部タクシーの存在を知り、私も今回行かれなかった地区を再訪したくなりました。
ぜひ1度、みなさんも自分の目で被災地の様子を見に行っていただけたらと思います。
参考までに、語り部タクシーHPのURLを載せておきます。
https://www.sendaichuotaxi.co.jp/charter/kataribe.html
最後に、松島の遊覧船から撮った「鐘島」の写真をUPします。
4つの穴からすべて、向こうが見渡せる瞬間を見た人は幸せになれるのだそうです。
穴の向こうに、「希望の光」は見えているのでしょうか?